
(CNN.co.jpより 5億ジンバブエドルだそうです)
ジンバブエで1000億ドル札が発行されるそうで。
年率220万パーセントのハイパーインフレによるものだとか。
ジンバブエと言えば、アフリカですので植民地であったのですが、戦後は白人統治でアパルトヘイトがあって、それからいろいろあって民主化して、今では黒人のムガベ大統領が長期独裁体制を組んでいる国です。
隣の国の内戦に参戦したり、人気が下がると白人の土地を強制収容したり、また物価統制や生産統制など、おもいつきでその場しのぎの経済政策を進めた結果・・・経済が完全に崩壊しているという始末。
一応議会もあるのですが、大統領の独裁で、野党の議員は殺されたりするようです。
まあ・・・こんな国もあるんですね。額面では世界最高額紙幣の記録を更新中とか言ってますが・・・国民はたまったものではありません。
経済の原理原則も知らないで、思いつきや反動、多数国民の人気取りで政策を進めるとこうなるという見本のようです。
政治と経済は裏表一体の関係で、政権がつぶれるのはたいてい経済失政によるものだと言われています。それはどんな強力な独裁体制も、内部崩壊か外部からの崩壊という形で、政権をつぶすエネルギーになります。
粛清で80万人ほど殺しまくったあげく、中国で完全な独裁体制をつくっていた毛沢東も、経済失政でついに失脚しました。大躍進政策を進めて3000万人から4000万人を餓死させたといわれています。ちなみに、旧大日本帝国軍が中国戦役トータルで殺害したのが中国人2000万人と言われていますので、二度と起こしてはいけないあの悲惨な戦争の2倍以上が経済失政で死ぬということですから・・・政治の中における経済政策の重要性をご理解いただけると思います。
それ以外にも、たとえばお金=お札になって以降(昔はお金=金や銀、つまり有限の金属資源でした)、国がどんどん札を刷れるもんだから、赤字だろうが無駄だろうがおかまいなしに、必要になれば面白がってすりまくって政権が転覆した・・・なんて例はいくらでもあります。ジンバブエも、この手の、政府とか大統領個人の資金需要に際し、安易に札を刷りまくったというのに近いのではないでしょうか?
まあ・・・ひどいもんですね。
そう思いながら日本の政治を見ていると・・・原油高に伴う補償だのなんだのでいろんな議論をしていますが・・・民主党が言うように、漁業者だけに1000億円もの直接補償をするのは反対です。(1000億ジンバブエドルくらいならいいですけど・・・)
というのも、原油高で困っているのはほぼすべての産業部門なんですね。農業も本当に困っているし、トラックをはじめ輸送業も困っているし、自動車などの製造業も困っている。これら全部にやるのか?というと、どうするんでしょうか?
原油高に連動するように鉄なども上がっています。鉄も補償するかどうか?それなら自動車会社や電機会社に対する補償は一体いくらになるのか?
まあ・・・ひどい政策ですね。しかもその挑発に乗って(かどうかしりませんが)、公明党も1兆円規模の対策が必要とか言ってみたり、自民党も直接補償を検討することをにおわせたり・・・まさに人気取りのためのばらまき合戦です。
しかも、出口がない。原油が今後下がるのなら「緊急対策」ですけど、原油が減る中下がることも考えにくいので・・・とすると、未来永劫ずっと出すお金になる。これではガソリンの「暫定」税率を批判したこととの整合性はどうなるのでしょうか?
そんな余裕がある財政背景、経済背景ならいざしらず、日本はGDPの2倍の借金を抱えているという状態なのに・・・これではジンバブエを批判できませんね。
こういうときは、素直に価格転嫁するしかありません。それは市場や販売の現場も含めてコンセンサスを取って、価格転嫁するしかない。同時に、効率を見直す。これはすでに製造業では何十年も前からやってきたことです。むしろ、漁業の工業化、自動化という視点まで踏み込んで、費用の見直しをするべきです。
原油代は漁業の費用の4割だと聞きました。4割が倍に上がったところで、費用は1.4倍です。できるだけ効率化で吸収し、吸収できない1~2割程度は価格転嫁するしかありません。
もとより海外からの安い魚製品に圧迫されていることは承知していますが、それは農業や工業も同じことです。それよりも、日本製品、日本の魚を食べよう、という意識を流通過程も含めて持つことです。そのためには、安全安心という日本ならではの付加価値を忘れてはいけませんが。
今の日本の最大の課題が、財政問題と、少子高齢化社会に起因するさまざまな社会保障問題であることを忘れてはならないと思います。
そのうえで、日本が生き残り、発展する方策を真剣に考えてゆきたいと思います。