浜岡原発が停止へ

昨日のニュースにはびっくりしました。
総理自らが浜岡原発を停止するよう要請するとの記者発表をしたからです。

まだ中部電力は回答をしていませんが、当然、今後すみやかに浜岡原発は停止する事になるでしょう。総理にああいわれて、反対することなどできません。まして、原子力政策という、国策として進めてきた部分についてですから、近く停止の表明をすることになると思います。

昨日から、私もマスコミをはじめいろんな方から「今回の総理の決断をどう思うか?」と聞かれています。
知事は「大英断」とおっしゃったようですが、私は少し意見が違います。
私としては、「ただ浜岡を止めると言うだけで、エネルギー政策も、産業への影響も、電気料金も、中電への補償も、京都議定書問題も、何も言わないので、あれだけでは評価できない。ただ一つ言える事は、菅総理は市民運動家出身とのことだが、その姿勢が顕著に出たと言うことだ。基地はいらないとか、原発はいらないとか、海外派兵は反対とか、そういう断片的な主張は、市民運動家ならよいのだが、総理という立場はそうはいかない。全体的な戦略、中期的な戦略を組み上げた上で、発言するべきではないか。そういう点では、軽率だし、一国のかじ取りを任せると言う点では頼りない。今回の件は、ただ浜岡を止めるだけ、他は知らない、というのなら、経済・産業面で打撃が大きく『人災』になる可能性がある。」と発言しています。

私も、浜岡の安全性については、本当に心配しています。それは、多くの県民も、多くの経済人も同じだと思います。浜松から浜岡までは40キロ。もし浜岡で一大事があれば、浜松も避難指示が出される可能性があります。そうなると・・・地域の中小企業は操業できなくなり、ほとんどが経営危機を迎えます。また、スズキやヤマハという大企業であっても、相当な打撃を受け、世界的な競争の中では危機的な状況になると思われます。私も経済人出身ですので、そういう強い危機感があります。こうした考えを前提に、浜岡問題に取り組みたいと思っています。

しかし・・・今回の唐突な発表で、今後の議論がどう進むのかは、また不透明になりました。
どう議論が転ぼうとも、県民の命と安全を守り、県内企業の競争力を守り、地域の発展を進めると言う姿勢は変わりません。
改めて週明けにでも中部電力から説明を受け、協議をしたいと思っておりますが、建設的で発展的な方向で政策を進めたいと思っています。

原子力政策は国策ではありますが、地域の政治をあずかる立場として、責任ある政策遂行をしたいと思っていますので、今後もよろしくお願いいたします。


この記事へのコメント
「唐突な発表」 地震は唐突に来ます。地震が来て原発が止まった、その上でどうするか、何が最善かで良いと思います。全部段取りしてからでは間に合いません。
Posted by はじめパパ at 2011年05月08日 05:15
現地の情報、大変興味深く拝見させていただきました。
被災地や被災者の状況は報道されていましたが、被災者支援の運営側に視点をあてた情報はなかったので、参考になりました。
今後は被災地の成功や失敗の要因を抽出し、県政への反映をお願いします。

ただ、今回の原発停止の要請に対する大岡議員の解釈については、賛同できません。
30年以内に東海地震の発生確率は87%と、他の原発での発生確率と比較すると圧倒的です。
全体的な戦略、中期的な戦略は確かに大切ですが、いつ地震が来てもおかしくない場所に原発があって、今回と同程度の津波が防げないというのがわかっていながら稼働させた場合、防潮堤ができるまでの期間、国民の生命財産を守る義務を総理は放棄した、と考えることもできるのではないでしょうか。
震災に関する政府の対応に不満はあるものの、今回の件については、国民の生命財産を守る責務を果たしたものとして、総理の判断を支持します。
Posted by コバヤシ at 2011年05月11日 23:46
菅直人氏の回路は単純で、内閣の延命のためなら何でもする・・ですね。直感的に受けることを何でもするセンスは対したものです。今回の拙速な判断については、日本に取っては結果オーライ。
ただし彼は責任を取らない事に何の恥じらいを持たないので、ボールを投げられた中電は可哀想だと思ったのですが、素晴らしい経営判断で原発停止を実現してくれそうです。中電と細野豪志さんに感謝です。
Posted by 秋山 at 2011年05月12日 18:58
みなさん、コメントありがとうございます。

なるほど、それぞれのご意見は説得力がありますね。

今回、菅総理は「原発をとめろ」と要請しましたが、発電行為を止めただけで、燃料棒や使用済み燃料の施設外への移動などは求めていません。これも中途半端の一つなんですね。

ご記憶にあると思いますが、今回高濃度放射能を出してしまった福島第一の4号機は、地震の時は運転していませんでした。燃料棒も抜き取られていたのです。それでも、使用済み燃料が今回のような問題を起こしており、その経験に立って浜岡でも同様の危険があるとすれば、止めるだけでは不十分であることになります。

私はこのあたりが、菅総理の胡散臭いと言うか、思いつきとパフォーマンスではないかと思う部分です。福島がいまだに終息せず、原発問題を東電に押し付けているだけでは世論が収束しないのを見て、今度は浜岡をやり玉に挙げたのではないかと。

実際に、菅総理が根拠とした地震確率は、確かに浜岡は87パーセントですが、同じ資料で福島第一は0.0パーセント、福島第二は0.6パーセントです。どこまで信用できるのか分かりません。

私は、だから浜岡は安全だと言うつもりはありません。止めた以上、節電や新エネルギーで協力する考えは変わりません。ただ、本当に正しかったのか、本当に津波を心配して対応したのか、本当に地域の県民の安全を心配したのか、ということについては、一つ一つが断片的であり中途半端で、対応としては不十分なので・・・疑念を持っています。

マスコミも、世論の批判を恐れてか、事実を十分に伝えていません。分析をしっかりしているとは言い切れない面があります。

私はこうした人気とりやパフォーマンスではなく、のちに「あの対応は正しかった」と言ってもらえるよう、しっかりした政策を組み合わせて震災対策を創り上げられるよう、肝に銘じて取り組みたいと思います。

そういう思いで書きましたので、どうかご理解いただき、ご支援いただければと思います。よろしくお願いいたします。
Posted by 大岡 敏孝大岡 敏孝 at 2011年05月13日 01:11
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