先日、デジタルプロセス研究会が主催したものづくりの勉強会に参加しました。
これはかなりの豪華メンバーで、中小企業庁長官の高原さん、スズキの鈴木俊宏副社長、浜松ホトニクスの晝馬社長など、そうそうたるメンバーでの勉強会でした。
司会はテクノポリスの津田理事長。本当は津田理事長もパネルディスカッションに加わっていただければ、かなり議論の幅が広がって、多くの参加者の学びにつながったと思うのですが・・・次回に期待したいと思っています。
実業界のお二人(鈴木副社長と晝馬社長)は、お二人とも現場主義を徹底しておられて、具体的で現実的な意見を展開しておられました。多くの従業員を抱えて皆さんに方針を示し、従業員全体のモチベーションを高める事が組織運営のキモですが、お二人とも体現しておられる事がよくわかりました。
一方で、最近私が心配しているのは、行政レベル、政策レベルの話で、やたらと地域性を主張したがる事です。浜松地域は確かにモノづくりで発展してきた地域ですが、ではすべて地域内調達で、地域が革新をしつづけることで発展してきたのかというと・・・そうではありません。
イノベーションというのは、どこで起きるかわからないんですね。浜松地域で起きるかもしれないし、隣の地区で起きるかもしれないし、隣の国で起きるかもしれない。そのイノベーションをどう取り込めるか、突出した革新についてゆけるかどうか、これこそが実は浜松地域の力だったんです。
しかしながら、最近は地域主権と関係あるのかどうか知りませんが、やたらと囲いたがる。囲うと言う事は、一見「油揚げをさらわれにくく」なるように思うかもしれませんが、競争力をなくすと言うことと同義であり、外の情報が入りにくくなると言うことと同義です。それで良くなると思っていれば、大間違いです。それは、浜松地域の力の分析を誤っている証拠です。浜松はもともと内発的なイノベーションで発展したのではありません。外の情報を巧みに処理し、外の力を取り込み、必死で食らいついて行った、これが力の源泉でした。
そう考えれば、経済産業政策は、もっともっと広く門戸を広げるべきです。日本中のあらゆる地域、さらには諸外国の突出しようとしている地域の情報を獲得し、広くパートナーを作ってゆく。突出しようとする企業や地域を捕まえたら、今度はそれを取り込む。自分たちの物にする。そういった戦略に舵を切らないと、私は地域力が低下すると心配しています。
東日本大震災で、経済的にもかなりダメージが来ています。一方で、グローバル化の進展というか、経済の原理に従って発展途上国が比較優位の経済資源で攻勢をかけて来ている。そうした中で浜松は生き残りをかけて変化しなければならない時代を迎えています。
「強いものが生き残るのではなく、変化したものが生き残る。」とは、種の起源を書いて進化論を提唱したダーウィンの言葉といわれていますが、まさにこれを肝に銘じて、静岡県西部地域の産業政策を進めてゆきたいと思っています。
もちろん、政治、政党、さらには政局にも同じことが言えますね。
各政党は・・・旧態依然としたものを引きずっているように見えますが、これで日本の未来を描けるのでしょうか?どの党が最初にこのことに気づくのでしょうか?
地方議会は政党政治ではありませんので、議員個人の見識や人脈で仕事をします。私自身も生き残れるように、もちろんそれだけではなく地域の未来を託してもらえるように、変化を恐れず努力したいと思います。
「強いものが生き残るのではなく、変化したものが生き残る。」はまさに今の時代に必要な心構えですね。心します。IT業界は今まさに変化の真っ只中です。
注:ネットで調べると、ダーウィンの種の起源の中ではこの言葉が見つからないそうです。
アルモニコスの秋山です。
フォーラム参加頂き有難うございました。大岡さんのような科学技術に強い議員さんにモノづくりとデジタルの融合を理解してもらえると、県や市の産業施策に大きな影響があると思います。
実はこの研究会は今回で21回目で、今回は会の特別顧問をお願いしている津田さんが、テクノの理事長になられたこと、市政百年の時期・・という事で初めてローカル色を強くして開催しました。
300人を越す参加を頂き、成功だったと思います。元々は私が「デジタルプロセス・イノベーション」という本を書いた事をきっかけに、ユーザー(モノづくり企業)、ベンダー(ソフト会社)、アカデミア(大学・研究所)のトップノッチが集まる場所としてスタートしました。という事で、いつもはもう少し技術よりなのですが、今回のように経営よりのフォーラムも良いですね。毎年開催を目指しますので、ご支援お願いします。
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